ゆっくりと意識が浮上する。 目を開けると同時に広がったのは、先も分からないような濃い闇の中だった。 此処はどこだろう…? こてんと首を傾げながら辺りを見回す。不思議なことに、自分だけが闇色に染まっていない。 地に足が付いている感覚はあるが、一体どこまで信じていいのかわからなかった。 「学校から帰る途中だったのよね、確か。それで、」 まず始めに音が消えたのだ。驚いて立ち止まって振り返ろうとして…。 闇に、包まれた。 「…本当に、何なのかな、これ」 (――――――ごめんなさい) 「………だれ…?」 ぽつりと呟いた言葉に反応するように、知らない女性の声が聞こえた。直接頭に響いてくるそれに少しだけ眉を寄せる。 (ごめんなさい。私には、どうしようもなかった……) 「ねぇ、どういうこと? それに貴女は、」 誰なの。そう問いかけるが、返事は来ない。 (貴女には力がある。あの方と同じ、力が。もしかしたらこの世界を・・) 彼女の言葉は相手に聞かす為のものではなく、むしろ独白に近かった。 だから、続けられた言葉に思わず驚いた。 (お願い……、ううん。…) 「……! な、何で私の名前…」 (””は貴女の魂の名。貴女にあってすぐに分かったわ。あの方の血族だって。) 彼女の声がとても嬉しそうに弾む。 彼女の言葉には不可解な点が多すぎた。 その意味を聞こうと口を開こうとして、視界が歪んだ。 「……っ?!」 (お願い、。どうか、支えてあげて・・・) 最後にそう響いて、私の意識は薄れていった。 '10/4/20 |