「そういえば、明後日は佐野君の誕生日だけど何かあげるの?」

天界からわざわざ遊びに来た羽璃が何の気無しにふった一言。
返された言葉は以外なものだった。









--Birthday--









「で、どうなの?」

「う、それが………」

こそりと耳打ちされ、羽璃は目を丸くする。

「はあ?!まだ何も決まってないの?!」

「羽璃っ大きな声出さないでっ」

清一郎にばれるっ。

「あ、そか。ごめんごめん」

の家の隣には佐野清一郎の家がある。
大きな声を出せば聞こえてしまうのだ。


(便利だけど不便よねぇ…隣同士って)


「けど何で決まらないのよ?」
幼なじみでしょ。あんたたち。

そう言うと、そうなんだけど…とが溜息をはく。

「清一郎てさ…ちっさい頃から温泉おたくだったから」

「あ−…なるほど」

なんとなく想像はつく。

「だから何あげたらいいか悩んじゃって」

小学校の頃は、お菓子とか、その時流行ってた物をあげた気がする。
「やっぱり喜んでくれる方がうれしいから」


(恋する女の子は大変ね−…)


そんなを見ながらしみじみと思う。




「ん−…多分佐野君はから貰ったのなら嬉しがると思うけどな。私は」

せっかくなのでちょっとしたアドバイスをする。
かわいい妹みたいなの為に。
それに、と羽璃は言葉を続ける。

の気持ちがこもっているなら大丈夫よ」

「羽璃…」

にこりと笑う。
私ができるのはここまでだ。

「がんばれ」

「うんっ」












コンコン

「清一郎−。今ひま?」

っ?!」

お前何しとるんや!

がいるのは窓の外。
佐野が驚くのも無理はない。

「屋根伝いに来てみた」

寒いから中入っていい?

が窓から部屋に入ってくる。

「んで、こんな時間にどしたんや?」

時計の針は12を過ぎていた。
それを確認しては軽く息を吸う。

「誕生日おめでとう、清一郎」

「な…まさかその為に?」

「うん。1番に言いたかったから」

えへへとが笑う。

「はい、コレ」

が佐野に包みを渡す。

「コレは?」

「開けていいよ」

カサリと佐野が袋を開けた。
中に入っていたのは黒い石がついたブレスレットだった。

「清一郎に似合うかなって思ってさ」

「おおきに。大切に使わせてもらうわ」

「よかったぁ」

へたりと座りこむ。

?」

「喜んでくれるか不安だったんだ」

そう言うと阿呆か。と返された。

がくれたもんはうれしいに決まっとるわ」

「…何でそう恥ずかしいこと言えるかな」

真っ赤になった顔をおさえるを佐野が笑う。
そして、








ありがとう、




抱きしめられてそう囁かれた言葉は、私にとって充分すぎるものだった。

























--後書き--

……なんでしょうコレ。
佐野が思いっきりキャラ違います。
こんなのでよければどうぞお持ち帰りくださいませ。