「けどいいのか?俺なんかで」


「君を見て直感したんだよ。"もしかしたら"って。私は神候補には選ばれたけど、
だからって神になる気はない」

と目の前の彼は苦笑した。



「けど、君にあえたのは何かの縁。君となら、うまくやれそうな気がしたんだ」



「・・・言っとくけど、俺はあんたを神候補として接しないぞ?」


そう言うと彼はきょとんとした。

その仕草に思わず笑う。



「っははっ。やっぱ面白いよあんた。これからあんたとは友達としてやってきたい」


だめか? そう問うと、それで構わないよ。と肯定の返事。





「もちろん。これからよろしく。くん」


「こちらくそ。蛍兎」












--終わりの合図と始まりの音--










----ピピピピピピッ    





「・・・・朝、かー」
久しぶりに夢を見たなと思いながらむくりと起き上がる。
蛍兎、俺の神候補とあった日の夢だ。
あれから3ヶ月。早いよーななんとゆーか。






トントンッ。ガチャッ






ーさっさと下に来なさいよ。朝ごはんさめちゃうから」
ひょこりと顔を出したのは2つ上の姉貴だった。
姉貴の左耳につけてるイヤリングがしゃんと小さく鳴る。
「・・・はよ、姉貴。ってかまたそれつけてくのか?」
片耳だけなのに?と言うと、別に言いでしょー?と怒られた。
「あった方が落ち着くの。っと、そんなことより早くしなさいっての。
母さんがまた痺れを切らして何するかわかんないんだから」
「へいへい」




「はよ、佐野」
「お。の姉ちゃんやんか」
登校中、珍しく親友の佐野と出くわした。


「んじゃわたしは此処で。またねー佐野君」
のことお願いー
と、
ひらひらと手を振りながら道を曲がり、雑踏へと消えた。


「いっつも元気やなー、お前んとこの姉ちゃん」
「塞ぎ込まれるよりかましだけどなー」
「にしても、まだ記憶戻ってないんか?お前の姉ちゃん」
神隠しに逢ったんやろ?と聞く佐野に俺はうなずく。



俺の姉である流依はちょうど今年の2月、学校の帰りに突然姿を消した。
帰ってきたのは大体1ヵ月後。
その間の記憶はないのだと姉貴は言った。

「まぁ。本人はいたって元気なんだけどな」
俺の心配もよそに、両親も従姉も何故か心配してないし。
従姉はなんか知ってるみたいだし。
母さんなんかは「あらあら、それは大変ねv」で済ませるし。
・・・まぁ家系が家系だからかもしれないが。

「っと。そういや佐野。お前大阪に戻るんだっけ?」
「そや。親父の仕事でな。全く突然すぎるわ」
「とか言いつつ、幼馴染に会うのを楽しみにしてるくせに」
青春してるねぇとからかうと、そなんやないわアホ。と返された。
「赤い顔して言っても説得力ないぞ?佐野」
けたけたと笑うと、笑うな!と首を絞めてきた。



これが俺の日常だった。バトルが始まるまでの--


































--大阪 朝比奈中3-C教室--



「------ん?」

「どしたの?
真向かいの親友の琴が聞く。
「んー何でもない。それより今日の占いなんだった?」
「えっとねー・・・」

(変なの。清一郎の声なんか聞こえるはずないのに)
琴の声を聞きながら私はぼんやりと空を見上げた。

























--後書き--



男主さん視点でした。最後は女主さんにもご登場。

うう。やっぱり書きにくいなぁ男主さん視点。

原作の時間で言えば植木達と佐野が会う2、3日前あたり?かと。