それは学校の帰り道。
「っと。ありゃ……………もしかして佐野?」
見上げた先には銭湯の煙突。
そしてその上には親友の佐野の姿が。
「……何やってんだあいつ…」
思わず呆れて呟いた。
--煤だらけの少年--
が現場にいくと銭湯の下にはちょっとした人だかりが出来ていた。
どうやら女の子が上って降りれなくなったらしい。
(あ−、だから佐野が上ってたのか)
――と、
「…!落ちたぁ!」
誰かの叫び声にバッと振り仰ぐ。
「んなっ!?」
女の子が手を滑らしてしまったのだ。
落ちるっと思い、誰もが息を呑む。
すると佐野は手ぬぐいらしきものを足に巻き付け金属物にしたのだ。
(っ?!あいつ…能力者なのか?!)
佐野が何とか女の子を受け止め、下におりてくる。
「お−い、佐野」
人ごみを掻き分け佐野に近づく。
「ん?あぁかい」
「何してんだお前」
学校にもこないで。
呆れて言うと乾いた笑いが返ってきた。
「…ぅ」
「あ、気がついた」
「もう大丈夫や。煙突なんか上ったらあかんで」
少女は目を覚ますとキョロキョロと泣きそうになりながら辺りを見回してる。
「どないしたん?」
もう怖ないで?と佐野が聞くも、泣きそうになるばかり。
どうしようかとが思っていると、ざわざわと後ろの野次馬が騒ぎ出した。
何事かと思い後ろを振り返ると黒く、煤だらけになった少年がこちらに近づいて来た。
どうやら少女のお手玉を取りに行っていたらしい。
(あー、なるほどな)
まぁ普通、小さな女の子が煙突の上に登るわけがない。
というか、お手玉があんな高い煙突に入ってしまうのも不思議すぎる話なのだが。
「よかったな」
がそう言うと少女はうんっと嬉しそうに頷いた。
「兄ちゃん、俺は佐野清一郎や」
「植木耕助…」
少年、植木が名を名乗ると同級生らしき女子が慌てて植木を捕まえて走り去っていってしまった。
「おもしろいなーあの二人」
それを眺めてたが笑う。
「植木耕助か…」
「いい奴だったな−」
「ほんまや」
「んで?佐野。今日学校来なかったか、ちゃんと説明しろ?」
野次馬が減り、辺りが静かになったところで歩きながら佐野を問い詰める。
「あぁそれな…。実は明日、大阪に戻らなあかんのや」
「明日?」
また急な。
2、3日位あるかと思ってたぞ。まだ。
そう言うと、俺もや。と返された。
「んで、この町にも今日で見納めやからと思うてな」
「…だから銭湯巡りかよ」
最後くらい顔だせっての。
思わず俺は溜息をつく。
「だからすまんて」
「まぁ、湿っぽいのは俺もごめんだけ、ど…」
ふと視界の端に映った光景をみてしばし沈黙する。
「どうしたんや?」
「…なあ、佐野。普通、人は火なんか吹かないよな?」
つーか、吹くわけねぇっつの。
思わず一人ツッコミしつつ、はつい、と横道を指さす。
ちょうど、植木達が市民体育館に逃げ込むところだった。
「っ?!悪い、追いかけるわ!」
「あ、こら待てっての。俺も行くぞ」
(あーそいや昨日蛍兎がバトル始まるって言ってたっけ…)
他人事のように思い出しながらは佐野を追いかけた。
--後書き--
男主さんです。すみませんごめんなさい遅くなりましたっ(土下座)
漫画が見つからなくて頭を悩ませつつ書いておりました。
そして次回は平戦です。
できれば早めにupしたいなー…と。すみません希望形で。