「そういえばねー今日、お客さん来るかもしれないから」
「ふぅん」
お母さんとのなんの変哲もない会話。
いつものようにほとんど聞き流していたのだけど。
その時は、この後起こることなど思いもしなかった。
--幼なじみ--
ピンポーンとドアのチャイムが鳴る。
「−。ちょっと出てくれる−?」
「わかった−」
お母さんに言われ、玄関に向かう。
ガチャリ
「はい、どちらさま、で−……」
外にいた人物を目にし、は思わず目を丸くした。
温泉マークの手ぬぐいに、浴衣の前を左右逆にした縁起の悪いスタイル。
「久しぶりやな、」
「な、なっっ…清一郎ぉっ?」
そこには、幼なじみだった佐野清一郎が立っていた。
よっ。と言われ、あまりのことに茫然とする。
「あんた…いつ、戻って……?」
「ああ。ついさっきや」
ついさっき…?何にも連絡とか無しで…?
「…んで」
「お?」
「な・ん・でっ!何も連絡しないで帰ってくるかなぁあんたは!」
思わず佐野の浴衣の襟を引っ張り、がっくんがっくんと揺らす。
「ちょっ、っ。首しまるっっ!」
「え、あ。ごめん」
ギブ!とうめく清一郎に気付き、パッと手を離す。
「げほっかはっ……3年振りに会った幼なじみを殺す気か自分!?」
「あはは。いやーつい」
「つい、じゃないわっ」
「大丈夫よ!ちょっとやそっとで死ぬような清一郎じゃないし」
「おっ前なぁ…」
何だかどっかの漫才になってきた為、
それより、とは清一郎の顔を睨みつける。
「本当に、なんで何も連絡してくれなかったのよ」
「聞いてへんのか?」
「へ?」
何をだ。
顔に出たのか、あるいは考えてたことが分かったのか、清一郎はに説明しだす。
「一昨日くらいに親父がのおばさんに電話しとったで?」
「え、うそ。聞いてな…」
「あらあら。久しぶりね清一郎くん」
突如、後ろから妙に間延びした声。
「お母さんっ!?」
「、驚いたでしょう」
ほんわかにこにこと笑う母。
「そりゃびっくりしたけどっ。何で教えてくれなかったの!?」
「だっての驚く顔が見たかったんだものv」
「お母さん…(呆)」
にっこりと可愛らしく笑う母に何も言えず脱力する。
お願いだからハートマーク付けないで…
が脱力してる間に母と清一郎が挨拶を交わす。
「お久しぶりです。おばさん」
「本当に久しぶりね、清一郎くん。背も伸びたでしょう」
そうなのだ。
最後に会った時は同じ位だったのに、今はゆうに私を越えていた。
…おまけにかっこよくなっているし。
清一郎を部屋に招き入れながらは小さく溜息をはく。
「にしても、相変わらずやなぁは」
「…それは私が全然成長してないとでも?」
「ちゃうて。俺の知ってるで安心したっつー意味や」
「褒めてもお茶しかださないからねー」
どっか適当なとこ座ってて。と清一郎に言い、飲み物を取りに下に下りる。
(変わってないのはあんたも同じだよ)
心のなかで呟く。
温泉バカで格闘好きな私の幼なじみ。
それだけは、変わらない。変わらなすぎて逆に安心してる私がいる。
(なんだかなあ…)
嬉しいような、悲しいような。微妙な気分だ。
結局、どうでもよくなっては考えを放棄した。
ちょうど烏龍茶があったのでコップと共に部屋に運ぶ。
ガチャリ
ガコンッ
「持ってきたよーって…何してんの清一郎」
ドアを開けると、何故か額を押さえて呻いている清一郎の姿が。
どうやらドアに当たった模様。思いっきり痛そうだ(他人事)
「ったー。もろくろうたわ」
「そこにいた清一郎が悪い(キパ)」
余りにもその仕草が大袈裟すぎて思わず笑ってしまう。
「そういえばさ、あっちはどうだった?」
「楽しかったで。おもろい奴にも会うたしな」
「面白い人?」
「せや。っちゅー奴なんやけどな」
「へえー。仲良かったんだ?」
「もちろんや!男の友情なめたらあかんで」
そう、嬉しそうに話す清一郎を見て、くんとはどんな人物なのだろうとちょっと思った。
…ほんの少し、ほんの少しだけ、そのくんが羨ましかった。
「ほな、また明日な」
「うん。じゃあねー」
って明日?
その後、1時間くらいおしゃべりしあって清一郎を見送った後、はたと先程の言葉にひっかかった。
翌日、朝のHRに現れた清一郎を見て、そういう事か。と思わず遠い目をしてしまったがいたとか。
--後書き--
久しぶりの法則夢です。
アニメ終わってしまった反動なのかは分からないですけど何故か読みに来てくれる人が他の夢より多かったです。
あーでも微妙にスランプです。此処最近。もしかしたら修正か書き直しするかも。
ではでは、次回も一応女主です。