「やっと追い詰めた」
「っ!」
「どうするんだい?”妖精の銃使い”さん?」
(あー…何でこうなったかな)
じりじりとこちらに近寄る相手を見ながらは静かに溜息をはいた。
--日常&非日常--
遡ること約3時間前。
「ーっ一緒に食べよう?」
「分かったー。あ、ちょっと待ってて」
「了解」
時刻は昼休み。いつもの様にお昼を親友の琴と食べようと席を立とうとした。
のだけれど……。
「、また来たぞー」
ドア近くにいたクラスの男子がを呼んだ。
「…また?」
「そう。また」
あいつも懲りないよなー。と言いながら預かったらしい手紙を渡される。
パラリと中身を確認して思わず溜息をはく。
「ごめん琴。一緒に食べれなくなった」
申し訳なさそうに言うに、事情を知ってる親友はしょうがないよ。と笑った。
「ほら、さっさと行ってさらっと振ってきな」
…何かすごい事を言われた気がするがいつもの事だから気にしない。(気にしろ)
琴に感謝しつつ、は指定場所へと向かった。
そんなを見ていた人が一人。言わずもなが、佐野である。
「…なあ、久海。は何処に行ったんや?」
「ああ。佐野君は知らないんだっけ」
くるりと久海琴が振り向き面白くなさそうに言う。
「告白されに行ったんだよ。は」
その一言に佐野は一瞬、何を言われたか解らなかった。
「……………はぁ?ちょい待ちぃ。あのがか?」
「あれでも結構もてるんだよ?は」
「あれでもは余計やろ」
それを言ったらおしまいだと言うの親友の言葉に、何とも複雑そうな表情を浮かべる佐野。
(…まさかそんなもの好きがおるとはな)
そして何故か腹が立つ佐野であった。
ちなみに自分もその一人だとは気付いていないらしい。眉間に皺を寄せて不機嫌になる佐野を見つつ、
も大変だなぁ。と琴は苦笑いした。
「でもまーあの分じゃ確実に振るかもね」
「というか振って来たけど?」
「おわっ。!?」
ひょこんと突然現れたに驚く佐野。琴は馴れてるのか驚いていない。
「ただいまー」
「ありゃ、おかえり。早かったね?」
「まあね。彼には悪いけど振ってきた」
「あーしつこいよねぇ。尾沢だっけ?キザで一見ちゃらんぽらんで女子からきゃーわー言われている?」
こくこくとが頷く。
「あんなの、ふって正解だわ。とゆーか!あんなのに私のを渡すもんか!!」
「琴はああいうタイプ苦手だもんねぇ」
「そーゆーだってタイプじゃないでしょ?」
「もちろん」
「とまあそんな訳よ。佐野君、分かった?」
「…一応」
「何の話?」
「がいかにモテてるかとゆー話」
「私、モテてなんかないよ?」
………。
「あーもう可愛いなは。そんなとこが大好きっ」
「え、え?」
何?私が首を傾げると、気にしなさんな。と琴に言われうやむやになって昼休みが終わった。
そして放課後。琴は部活で清一郎は先生からの呼び出しで(一体何したんだ)ぼんやりと待っていたら、
今1番会いたくない人現れた。
「今帰り?さん」
(うげ…尾沢くんだ)
が一人になるタイミングを見計ったように現れる尾沢。
「…そうだけど?」
「じゃあ一緒に帰ろうか」
「…………何故一緒に帰らなければいけないの?悪いけど人待ってるから」
ざばざば切って捨てるに手厳しいなぁと朗らかに笑う尾沢。それを無視して校門へ足を向けた。清一郎には
悪いけど後で遊びにいけばいいかと思いながらその場から立ち去ろうとした。
はずだった。その言葉を聞くまでは。
「そんな事言わないでさ。『妖精の銃使い』さん?」
「!? なに、言って…」
「さんも能力者だよね。知ってるよ?神候補達の噂にのぼってたから」
(まさか…能力者!?)
神候補の羽漓から聞いて知ってはいた。能力者バトルが始まったと言う事を。けれど、自分の学校にいたとは。
「だから、近づこうとした…?」
「そうだよ。さんは警戒心強かったからどうしようかと思ったけど」
此処じゃなんだし、公園にでも行こうか。
そう言う尾沢の言葉に私は逆らえなかった。
「…?」
丁度、先生の仕事を手伝いをさせられてた佐野が階下にいたの姿を見つけた。
(誰といるんや、あいつ…)
二言三言、話をしてと隣の知らない男子が歩き出す。
嫌な予感がした。
佐野は慌てて鞄を掴みの後を追いかけた。
「さて、此処なら邪魔も入らないね」
ぐるりと周りを見渡し、尾沢が呟く。
「バトルを始めようか」
そして冒頭に至る。
ガゥンガゥンガゥンッ
尾沢の持つ鏡に銃弾が向かう。
「”鏡に写った相手の能力を反射する能力”!」
鏡に触れる、と思った瞬間銃弾が鏡の中に吸い込まれ、次の瞬間にはこちらに跳ね返ってきた。
は反射的に避けたが、ビッと避け損なった腕から血が流れる。
「もう諦めれば?絶対に勝てないんだから」
鈍い痛みに眉をしかめながらが立ち上がる。
「まだやるのかい?せっかくの顔が台なしになるよ?」
は相手の言葉をほとんど聞いていなかった。ただただ、相手の隙がてきるのを見計らっていた。
(正面から打ったら反射される。かと言ってやみくもにやればこっちが当たるし…)
発動条件はだいたいわかってる。あとは…
(一か八かっ)
「”キーホルダーを銃に変える能力”!」
キーホルダーが形を変えて銃が2丁、手の中に現れた。
ガゥンガゥンガゥンッ!
放たれた銃弾が相手の足元に集中し、尾沢が後ろに跳ぶ。その瞬間の意図に気付く。
「なっ、まさか!」
「遅いよ」
ガゥンッ!
銃弾が放たれる。
「君の能力は跳んでいる時は無効になるんでしょ。だから攻撃した時も避けなかった」
バリンと音を立てて鏡が割れた。
「形勢逆転。バイバイ」
ガゥンッと音がし、尾沢が倒れた。
軽く息を整えていると後ろから佐野が走って来た。
「…っ!」
「あ、せーいちろう。遅かったね」
「それはお前が場所変えるからやろ。それより…」
つとめて明るく話そうとしたが無駄に終わった。
「お前…能力者やったんか」
手に持ってる銃を見て清一郎が呟く。その言葉には困った笑みを浮かべた。
「何で黙っとったんや」
「言ったら反対した?」
「…」
元のキーホルダーに戻しながら清一郎に聞き返す。
「でも能力者になったのは私の意志だよ。そりゃかなり押し売りだったし
こんな近くにいたとは知らなかったし清一郎は変わってないし。最後は関係ないけど」
「何か言うたか?」
何にもー?とが笑う。
「さ、帰ろう?」
--後書き--
久しぶりでキャラが無茶苦茶です。ぁぅー。
そしてやられ役A(笑)微妙に好きです。また出したいな。
ではでは、次回は男主です。