いいですか?と蛍兎は俺に説明した。

「実は君の能力の制限はほとんどありません」

「そうなのか?」

の言葉にええ。と頷く。

「どんな武器でも大丈夫です。まぁ、実際扱った事があるもの限定ですけど」

「それが限定条件?」

「はい。けど君ならわけないでしょう?」

言葉には確信の響き。

俺は蛍兎の言葉に不敵に笑った。

「もちろん」












--友--










能力を選んだ時のことを回想する。

腕輪を武器にする能力。
ぶっちゃけて言おう。
俺は大低の武器を使いこなせる。それは母さんの家が代々忍として育てられていたのが大きかったりする。
「もちろんこんな世の中じゃ忍なんていなくても全然平気なんだけど。せっかくだから強くなるだけ強くなっちゃいなさい」 とゆー母さんの無茶苦茶な発言から、俺と2歳上の姉貴は嫌ってゆーほど鍛えられた。
そんなわけで今じゃ剣から弓から槍から暗器まで一通り扱える。感謝していいのか微妙な所だ。

質量の保存を無視しつつ、腕輪が武器に変形する。黒い黒い夜の色を映した死神の持つような大鎌である。
(…でもこれだけで『死の道化』とか流されちゃなぁー。別にいいけど)
ヴンッと一降りし、肩に担ぐ。

「李崩ー次はこっちからな」

そう言うが早いか、地を蹴り一気に間を詰めた。

「…!」

「せいっ!」

ぎりぎりのところで避けられ、上から振り降ろした鎌が音を立てて地面に食い込む。

「うーん、惜しい」

やっぱり強いと楽しいなーとしみじみ思う。
此処最近来た能力者はまあ…一般的には強い部類に入る奴らだったがにしてみれば格下ばかりだったのだ。 弱い奴を相手するほどつまらないものはない。まあ鍛えるのは成長が楽しみだから結構好きなのだが。

ガコッと鎌を地面から外したところでふ、と影がさした。
李崩の攻撃を紙一重で避ける。
そのまま流して懐に潜り込み鎌を凪いだがバックステップで避けられてしまった。
風を斬る音と地擦れと砂埃が辺りに舞う。
果てしなく永く感じる攻防が続いていたが、鎌が掠って李崩の動きが僅かに遅れた。 その隙をついてのによる寸止めの攻撃で勝負がついた。

「っと。勝負ついたな」

武器を退けほら、と倒れている李崩に手を差し出すと、その手を凝視したまま動かない。

「李崩?」

「……何故攻撃をやめた?」

「うん?」

「あのまま攻撃すればお前の勝ちだったアル。何故攻撃を止めた?」

「なんでって…何となく?」

きょとんと首を傾げながら言うに呆気にとられてしまった李崩。うーんどう説明すっかなとは頭をがしがしとかく。

「んー本音を言わせてもらえば、あんたはこれからも伸ばせばのびるから。後、個人的に気に入ったし」

能力使わないでこのバトルしてる奴なんて初めて見たからな。と本当に嬉しそうには笑った。




「ほー?んじゃ李崩は強くなるためにこのバトルに参加してんのか」

なんでも李崩は空白の才を語学に使うらしい。

「お主といい植木耕助といい未知数な奴が多いアル」

「…ん?植木にも会ったのか?」

が聞き返すと頷かれた。

「んで、戦った感想は?」

「あやつは粗削りな分、強さに出ていたアル」

「あー植木はバトルの中で成長するタイプだからな」

平戦のときの植木の様子を思い出しては苦笑する。
粗くて粗過ぎて、けれど見様見真似でみるみる能力を使いこなしていった。 今は不安定だが場数を踏めばそれもなくなるだろう。久しぶりに良質な原石を見つけた気分だ。
気付いた事がある。
恐らく、あの戦いの時居合わせていた中では俺しか分からなかったと思う。神候補は別として。
植木の強さは大切なものを守る時に発揮するのだろうと言う事。もっとも、本人は気付いていなかったみたいだが。

「そろそろ行くアル」

「そか。…そーいや李崩。お前何処で寝泊まりしてるんだ?」

「神候補の所アル。それがどうかしたか?」

「んー…もし、李崩が構わないというなら……今度、付き合ってくれないか?」

「何故アルか?」

尋ねられは先程から考えていた事を話す。

「さっきも言ったけど、お前はまだ伸びる。俺もまだまだだなーと反省したし。 だからな?お前さえよければまた手合わせしたいんだが…」

駄目かな。と頬をかく
その言葉に李崩は僅かに目を開いたが、くるりと背を向けて歩きだしてしまった。少し残念に思っていると李崩が立ち止まった。

「………それまでに負けたら許さないアル」

「! ははっ、さんきゅな。お互い頑張って勝ち残ろーぜ」

ぽつりと呟かれた言葉には嬉しそうに微笑った。























--後書き--



男主くんと李崩に友情を(笑)仲良くなって欲しかったので絡んでもらいました。
次は女主さんになる予定。



07/3/5 up