突然だが、最近、清一郎が変だと思う。



「それは元からだと思うけど」
「いやそーでなくて。清一郎が変なのはいつもの事だけどさー…」
あんたも結構酷い事言ってるわと応じながら琴はお弁当をつつく。
夏に近づくにつれて日差しも強くなってきている今日この頃。暑さで頭でもやられた?と言われた。そんなんじゃないと返したけど。


「何かあったの?」
「…分からない。けど。行動がなんか不自然な気がするの」
「だからいつもの事でしょその位」
「う〜…」
なんて言えばいいなかなぁとは机に伏した。



…挙動不審だったり。

人の話聞いてるのかいまいち分からないし。

(犬丸さんにでも聞いてみようかなぁ…)
「でなきゃ本人に聞けば。もうすぐ夏休みだしあんた達家近所っしょ」
「う〜〜…言えたらこんなに悩んでない〜」
「がーんば」
やる気の無い応援にますます沈みこんだ。





能力者バトルは最初の頃から比べて少しは落ち着いてきた様に思う。羽璃に聞けば半分くらい減ってきているのだという。そんな理由もあるかもしれないが、能力者間でひそやかに流れているある名前の為かもしれない。

ロベルト・ハイドンの率いるロベルト十団。

…本音を言えば、普通自分の名前をグループの名にするかなぁ?とか思ったのは記憶に新しい。…と、話がズレた。
実力もかなりなものらしく、私達能力者はなるたけ関わらないようにしている。触らぬ神になんとやら。まさにそんな感じである。






「鳴かぬなら、無理矢理にでも鳴かしましょうホトトギスだと思うんだ、清一郎」
「…何や、いきなし」
放課後の教室、日直の清一郎に付き合いで残っていたは呟いた。
「待つのも策の内とは言うけどさ?それで気付くの遅かったら意味ないと思うんだよね。うん、琴って良い事云うよね流石私の友達。
 ってー訳で、清一郎」

にっこりとは笑った。

「隠してる事、あるよね?」


考えていたらキリがない。
その結論に辿り着いたのは四苦八苦しながら日誌を書いていた清一郎を見ていてだ。
そもそも、は考えるより先に行動するのが性に合っている。当たって砕けてしまえ。までは言わないけれど、判らないなら聞いてしまえばいい。触れられたくなければそれまで。外壁から詰めていけばいいだけじゃないか。


「…何のことや?」

「あるよね?」

「…いや、だから「あるよね?」

「……(汗」

清一郎ににこにこと笑いかける。はぁっとため息をついて清一郎は顔を背けた。そういえば小さい時もこんな感じで押し問答したなぁと思い出す。そのときは何が原因だったっけ。そんなことを考えていると清一郎が口を開いたのでひとまず意識の端に追いやった。

「…言えへん」

「言えない?」

こてんと首を傾げると少しの間の後、おう。と肯定された。

「…理由は、聞ける?」


「……すまん」

「…………ふぅん」

とりあえず元に戻す。…やっぱり犬丸さんに聞くか。
「でも、清一郎が言えると思った時に言ってよ?一人で抱え込むのだけは止めてね?」
私じゃ駄目ならあっちにいたえーと、君?その人にでもいいから。
そう言うと、もう一度すまん。と清一郎に言われた。
うーん…。
(これは早めに犬丸さんに聞いた方がいいかな…)

後になって
無理矢理にでも聞いておけばよかったとは心底自分に憤る事を知らずに。














「からころ からころ
狂って繰って 一巡り」


銃を指先で廻しながら少年はもう一人に呟いた。

「なぁ、”道化”は引っ掻き回してこそが生業だと、そう思わないか?」

「…その通りだと思いますよ」

だよな。と笑いながら頷き、その手にあるものを消す。

「そんじゃ、始めるとすっか」


「どこまで俺は出来るのかねぇ?」






















--後書き--

最初は別の話にしようかなとも思ったのですが全然進まず。1年位経ってましたね更新。すみませんです。





08/2/5 up