プルルルル……ぶつっ

プルルルル……ぶつっ

プルルルル……ぶつっ、ぱたん








「…………つ、繋がらない」
むむぅ、と思わずはうめく。携帯を持ってうなる姿ははたから見れば怪しいことこの上ないが、自分の家なのだから問題ない。
かけている相手は隣の幼なじみの神候補だ。電波が届かない場所にいるのか、繋がる気配がまったくない。
はてさてどうしようかと悩んでいると、玄関からチャイムが鳴り響いた。

さんっ、佐野君を知りませんか!?」
「……え?」
ドアを開けるなり切羽詰まった犬丸。探していた人物が自らやってきていた。
「清一郎なら終業式から見ていないけど…」
そう返しながらは眉をひそめる。


じわり

不安が忍び寄る 感覚

清一郎は、夏休みに入る前から朝早くから出かけてたりした。そして能力者間の噂−−−−





聞きたくないと

聞かないと

(けど、どちらにせよ)

戻れない

戻ることはできない


そう、感じた。






「何が、おこってるの」
「佐野君は、」

どくん

本当は聞きたくない その先を
「…ロベルト十団に入ったんです」
「………っ。噂、本当だったんだ……」
そう、も聞いた時はまさかと思ったのだ。けど情報提供者がいうに、見間違いではなかったらしい。


もしあの時、

何がなんでも聞いてたら、と。

そんな考えが頭を過ぎる。
噂でそんな事が流れていたのは知っていた。嘘だと思いたかった。泣きそうになってきゅ、と唇をかむ。
悔やむな。それをするのは後だ。今は殴って理由聞き出すのが先…!
「犬丸さん、今現在ロベルト十団のいる所…わかる?」
それは羽璃と捜した時に聞いた場所と同じ所だった。



今までの事を、整理しなきゃ。 あいつは、理由なしでこんな行動をとるはずがない。馬鹿で温泉好きで真っ直ぐな私の幼なじみ。の知る佐野清一郎はいつもそうだ。十団の理想とは相反するはず。そもそも、何故ロベルト十団だったのか。

(理由がきっと、あるはずだ…)


「とりあえず、植木君達に合流して行きましょう」
「…犬丸さん、植木君て?」
あぁ、さんは知らなかったですよね。と犬丸はかいつまんで話してくれた。…話を聞く限りは面白そうな人みたいだ。(一緒にいる森さんて子とか)
君がいてくれたらよかったんですけどね…」
「あ、清一郎の友達っていう?」
「ええ、どうも連絡が取れなくて…」
蛍兎君は「私は関知してないですからー」っていい笑顔で教えてくれないし…とぶつぶつ呟く。はてと首を傾げる。
(蛍兎って名前、どっかで聞いたよーななかったよーな…)













<俺は嫌だぜ?カスタリアと敵対するの>



ふと、カルクスの言葉が頭を過ぎった。























--後書き--
…犬丸夢?イヤイヤ違ウヨネ佐野だよね一応。 うん一応。出て来てないけど。



08/5/8 up