かつん、かつんと、機嫌よく回廊を歩く。先程アーシェスから貰ったそれを片手で持ち、ある部屋の前で足を止め、


コンコン、  バタンっ


はノックをした後返事を聞かずに扉を開け放った。

既に気配で判っていたのか、クォルファがこちらを睨んできたが気にしない。よくあることだ。

「………………」

「うふふ、そんな怖い顔しないの、リヴェンツェル。と、いうわけでチェスから焼菓子を貰いましたー」

「……それで、何故私のところに来る」

「ん?お裾分け」


私一人では食べきれないしね。とがころころと笑う。ため息をつきながら、頬杖をつき近寄ってきた彼女を見上げる。

「………帰れ」

「嫌。せっかく甘さ控えめの貰ってきたんだから、リヴェンツェルもご相伴に預かってよ」

「……」

「……」

「………」

「…………」

にこにこと笑うに眉をしかめて睨むクオルファ。しばし無言の火花が散る。



先に折れたのはクオルファだった。

「………………茶葉はいつもの棚だ」

「悪いわねー。有難う」











睨まれるのも一興






「おや、クオルファくんにくん。これはアーシェス君のお菓子かの?」

「あ、ポーレル先生。よかったら先生もいります?」

「ほほ、すまないのぅ」

「………用があって来たのではないんですかポーレル先生」

「何事も息抜きは必要じゃよ、クォルファ君」

「そーゆうことよ、リヴェンツェル(はぁと)」

「…………」










[リライト] 物騒美人五題よりお借りしました。前回と同じく夢主は同期先生設定。