「相変わらずだな」
そう言っては目の前にいる医者を見やった。
-悪戯-
「じゃないか」
「丁度近くまで来たもので」
ついでに何か買ってもらおうかと思ってな。と背中にある道具入れを見やる。
「また珍しいもの持ってきたのか、は」
呆れたように化野が言う。
つくづく、何故が蟲師をやっているのか問いたくなる。
蟲が近寄りにくい体質だというのに。
「上がらせてもらうぞ」
勝手知ったるなんとやら。はさっさと上がって居間の方へ向かう。
「ああ、ギンコも来てるからな」
後ろから化野が声をかける。
「ギンコが?」
珍しいことがあるものだな。と呟くと、
それはお前さんもだ。と返された。
居間に行くと、ギンコが寝転がっていた。
「ギンコ」
声をかけるが一向に起きる気配がない。
煙草をくわえながら寝るとは器用な奴。
などと思いながらはそっと煙草を取り上げる。
其れを吸い、ふぅっとギンコの顔に吹きかけてやった。
「っげほっけほっ・・・。っ誰だよ吹きかけた、の、は・・・」
ギンコが目を見開く。
「久しぶりだな、ギンコ」
「・・・お前な。もうちっとましな起こし方はねえのか」
「気にするな」
いや気にするって。と文句を言おうとしてはた、
と先ほどまでくわえていた物がないのに気づく。
まさかと思い、見上げると探し物は煙を吹きかけた当人が何食わぬ顔して吸っていた。
「ああ、寝るときは煙草はしない方がいいと思うぞ?」
黒曜石の瞳が意地悪く笑った。
-後書き-
間接キスですね。おもいっきり。そして今回も短いです。
ちなみに彼女はごーいんんぐまいうぇいです。
ギンコをからかうのが楽しいようで。
やられた本人は複雑でしょうけど(笑)