「まるで雪化粧だな」
草木に積もった雪を見ながらは呟いた。
-六花-
「旅するやつには大変だけどな」
視界が雪で見えなくなっちまう。とギンコがぼやき、もそうだなと同意する。
「それでも、私は雪が好きだな」
手をのばし、そっと雪をのせた。
氷の結晶はすぐに手の温度で溶けてしまう。
「雪は全てを覆い隠す。そうすると新しい一面を垣間見ることができるからな」
ふわり、と雪が手にのる感触を楽しみながらは言った。
「…へぇ」
「何だその間は」
「いや、べつに」
むっとするを横目でみながらギンコは煙草をくゆらす。
(言えるわけねぇだろうが…)
はかなくたたずむの姿に見惚れていたなどと−。
言ったらどんな顔をするか。
二人ともしばらくそうしていたが、寒くなったのかは小さく肩をふるわせた。
「冷えてきたな」
「だな。そろそろ戻るぞ」
「わかった。………ギンコ?」
「何だ?」
「これは?」
つい、と何故かギンコに握られた右手を指さす。
「手、冷えてるんだろ」
いいから中入るぞ。
言われた言葉に思わずきょとんとしてしまったの手をひく。
「…ありがとう」
「どういたしまして」
不器用な、彼なりの優しさだったことに、気づいた。
--後書き--
雪が降ってボーと見てたら思いついたもの。
好きですよ雪。寒いのは少し苦手ですけど(矛盾してるなー)