「どうかしたか?」 「いや…」 なんでもない。と答えてはもう一度空を見上げる。 (…雨が、降るかもな) -露模様- ザアアアァ 季節も雨季に入ると必然的に雨が多くなる。の感は当たってしまい、ギンコとは近くの木 に雨宿りをしていた。 「こりゃかなり降るな」 「全くだ。お蔭で二人共濡れてしまった」 の言うように、先程急に降り出した雨でびしょ濡れだった。 「水も滴る、か?」 「馬鹿な事言う前に拭いたらどうだ?」 「……へいへい」 ほら、と差し出された手拭でガシガシと頭を拭く。 しばらく雨は止みそうにないなとギンコが思っていると、くしゅっと横から小さな音が聞こえた。 「、大丈夫か?」 「−と思う」 「思うって…お前なぁ」 「このくらいで風邪はひかな…ひゃっ」 ふぁさ、といきなり視界が遮られ思わずは声をあげた。そして、それがギンコの外套であるこ とに気付く。 「ギンコ?」 「しばらく被っとけ」 「…濡れるしまうぞ?」 「別にかまわんさ」 そう言いながらギンコは蟲煙草に火を付ける。うっすらと煙が上がり、蟲煙草特有の香が辺りに広 がる。その様子を見ていたは突然くすくすと声を漏らした。 「何笑ってんだ」 「別に?」 はなおもくすくすと笑い続ける。 蟲煙草の香が染み込んだそれに顔をうずめながら。 微かに残る彼の温もりを感じながら。 (これは、あいつの香だ) 雨はまだ止みそうにない。 --後書き-- ここの所何故か朝と夜に決まって雨が降ってたんです。そして この話は眠るまえに唐突に浮かびました。 雨の日は好きです。雪と同じくらいに。まぁどちらも降りすぎるのは嫌ですけどね(苦笑) |