放課後になってから約30分後。
ドォン!
中庭で小規模な爆破発見。
「………今度は何したのよ、リボーン君」
2階廊下を歩いていたは階下に見える光景に思わず口元を引きつらせた。



泣き声に怒り声、階段を下りて発信源に赴くといつものメンバーがそこにいた。
「……皆、何をしたのさ、今度は」
「あ、さん!」
泣き喚くランボをあやすツナがこちらに気付く。
「それが、その…こいつの保育係を決めようって事になって」
へーと気のない返事をすると他人事だこの人っー!と叫ばれた。うんまぁ他人事だしね?
「…雲雀君は今日は見回りで外に行ってるから平気だと思うけど…出来るだけ校舎とかは壊さないでね?」
八つ当たりされるのこっちだろうから。と苦笑すると努力します…。と青ざめた顔で返された。てくてくとリボーンがこちらに近づきを見上げる。
はどうするんだ?」
「書類整理のこってるんで謹んで辞退させてもらいます」

私を巻き込まないでくれ。お願いだから。

「お前もファミリーの一員だぞ」
「いやいやいや待ってリボーン君。私はまだ保留のはずだけど?」
慌てて否定すると、んなこと関係ねーぞと言われた。でもまだ保留にしておきたいのだ。私としては(もう無駄かもしれないけどね!)静かに息を吸って、はく。
「………ツナ君」
「え?」
「ごめんね此処は頼んだけどあんまり派手な騒ぎは起こさないでねーーー!」
「え、あっさん!?」
ツナとリボーンが動く前に一目散に駆け出した。何か言われた気もしたがそんなことに構ってられない。こちとら雲雀が帰ってくるまでに書類をあらかた終わらせておかなければならないのだから。

「ちっ、逃げたなあいつ」
「ええええぇ、そんな!」

頑張ってねーと遠くから言われた気もしたがツナにとってはなんの慰めにもならなかった。












そんなやり取りから数日後。いつものように何故か昼休みからやらなきゃいけなくなった書類をざかざかと捌きつつ(元はといえば外回りばっか行っていたどっかの委員長のせい)そろそろ休憩でもするかなーと軽く伸びをして、雲雀の方を見たは目を見張って固まった。それに気付き不審そうに尋ねる。

「……?」
「………えっと、後ろ。窓の外」
の言葉に眉をひそめたがとりあえず視線を後ろに向ける。更に眉が寄るのが自分でも分かった。

「…なに、これ」
「これ扱いっすか。…えーと、ランボ君はツナ君の家にいる子、かなぁ」
正しい表現方法は見つからないけどまあいいと思う。頑張ってよじ登ろうとしてるのが涙ぐましい。でも此処、3階なはずなんだけどなぁ。
「……とりあえず中に入れても?」とランボを軽く無視して書類に目を戻す雲雀に許可を求めてみ「好きにすれば」…いいんだ。

「…ランボ君。平気かーい?」
「ラ、ランボさんは無視されてもなっ泣かないんだもんね!」
「あはは…(既に泣きかけてるよこの子)」
はランボを片手に抱きかかえてソファへと移動する。此処には紅茶とコーヒー位しかないので仕方なく飴をあげることにした。しばらく大人しくしていてね。と言って自分も雑務に戻る。
飴を舐めている最初はランボも大人しくはしていた。が。雲雀は元より、もランボにかまってはくれない。段々と喧しくなってきた。

「ランボさんねー、ヒマなの。ー楽しいことしよう?」

「そうだね後でねー」

「ねーねーー」

「…(無視)」

「ランボさんと遊ぼうよー。でないと泣いちゃうよ?ランボさん泣いちゃうよ?」

「……(ツナ君呼んで引き取ってもらおうかなぁ)」



「ねえ、何とかならないの?」
「あー…ごめんなさい。中に入れちゃってほんとごめん。だからトンファー出さないで雲雀君…!」

流石にランボ君相手だと幼児虐待になるからそれ!それは駄目だよリボーン君がランボ君にやる分には平気だけど!(それもそれで問題あるけどさ)「ランボさん怖くなんかっないもんね!」 って、ランボ君余計なこと言うなーっ!



「〜〜あーもうっ。しょうがない雲雀君少しの間だけランボ君捕まえて!」
「ぐちゃぐちゃにしていいんだね?」
「それはダメーっ。すぐ終わるから待ってお願い!」
「…………ちっ



がさごそと懐から小瓶と注射器を取り出し、ランボが雲雀に捕まえられてるのをいい事に小瓶に入っている液体を注射器に入れ新しい飴に突き刺し、注入する。所要時間僅か5秒。

「ランボ君っ、もう一個飴いる!?」
「ランボさんいるもんね!」

今度は噛んだりしないで舐めてねと言い含め、首根っこ捕まれてるランボに飴をあげた。ついでに雲雀から取り戻す。はいそこつまらないって顔しない雲雀君。嬉しそうに舐めていた顔が徐々にぼんやりとしてき、舟をこいで最終的にはすぴすぴと眠ってしまった。

「………よし!」
「よしじゃない」

ガッツポーズしたにとりあえず頭をはたく雲雀。
「…何したの、君」
「いやまぁ教室ならまだしもここ応接室なものですから暴れられると今までやってた書類がパァになるんでそれは嫌だなーと。1時間くらいで目、覚める睡眠薬だから平気だよ。にしてもよかったー血を見る前に事が済んで」
あははっと朗らかに笑ってみる。
そういう問題でもない。そう雲雀は思ったが口には出さず息をついた。こうなったは言っても無駄だと過去の経験で悟っている。以前、似たようなことがあったから。(そのときは赤ん坊が来たときだった)代わりに別の質問をする。

「どこで手に入れたの、そんなの」
「知り合いの先輩からサンプルで」
「…知り合いって?」
「え、先輩?並盛(こっち)来る前に貰ったの(他にも色々貰ったけど)」
「とりあえず不要物持ち込み禁止。よって取り上げ」
「ええーっ、嫌だよ結構使えるのに!(てか何今の質問!)」
「…何に使う気さ」
「あはは、…色々?」
ランボ君を止めるとか止めるとか止めるとか。あ、雲雀君にはしないよ後が怖いし。
「……もういい」

聞いた僕が馬鹿だったよ
うわぁ、何さそれひどいなー…

「言ったんで返してください雲雀君ー」
「駄目」
「うわぁ。ちょ、本当に返してー…!」
雲雀の手から取り替えそうとはするものの、取ろうとする度に腕を上に持ち上げられる。それの繰り返し。身長差が10cm程あるため届かない。…ちょっと、何でそんなに楽しそうなんですか君。もしかしてさっきの報復?人が必死なところ見ててそんなに楽しいですか…!



と、外の廊下から足音が聞こえてき、何だろうと二人が入り口を振り向くとちょうど応接室の扉が開いた。
「あ、あのー、…こっちにランボ来ま……」
「誰?」
「あれ、ツナ君?」
あぁ、赤ん坊とよくいる草食動物。という雲雀の言葉に冷や汗をかきながらどうしたの?と固まっているツナに近づき尋ねる。…今日はリボーン君いないから平気だろう。うん。

「あの、ランボ見ませんでしたか?あいつがこの辺りの窓から入っていくのが見えたんで…」
「へえ、あの煩い牛は君の所のだったんだ」
「(やっぱり来たんだーっ!)」
「ランボ君なら此処だよ。眠っているから1時間位で覚ますと思うよー」
「え、あ、ありがとうございますさん」
「いえいえ。起きたらどうしようかなって思ってたから来てくれて助かったよ」
その言葉に何かひっかかったのか、恐る恐るツナがに聞く。

「えと、なんかやらかしたんですか…?」
「んー?される前に落としたから未遂かな」
「(落としたって何ー!?)」
あははっと笑えばツナは面白いくらいに顔色を変えた。相変わらずだなぁと思っていたら後ろから呆れた視線と溜息をつかれた。
「…やったのはだろ」
「雲雀君はランボ君脅してたじゃない」
「関係ない」
「えー」
「(本当に何したのこの人達!?)」

そんなやりとりの後、で、君はいつまでそこにいるのという雲雀の言葉にツナがビクッと肩を震わせ失礼しましたーっ!と逃亡してしまった。ひらひらと手を振った後、は雲雀に声をかける。

「…で、雲雀君。薬返してー」
「………」
「雲雀君?」
珍しく反応がないので首を傾げていると、は、と続けられた言葉に目を丸くした。
「あいつらから名前で呼ばれてるんだ」
「え、うん。そうだね」
あいつらってツナ君達の事かな。と思いながらそれが?と聞き返す。
「じゃあで」
「何がじゃあなのか分からないしなに対抗心出してるの!?」
思わず突っ込むと文句ある?と睨まれた。いやないですけど!
「いやまぁ別にいいけどさー…」
机に戻る雲雀を眺めながら小さくため息をつく。



なんだかさっぱり分からない。(雲雀君、きみ何やりたいの?)









おまけ

「ところで雲雀君。薬は?」
「……」
「な、なに?」
「何も持ち歩かなくても良いだろ。此処に置いておけば」
「あ、そっか(ランボ君また来そうだし)」
てなわけで睡眠薬は応接室に常備されました。














夢主がツッコミ要員になってきた…。





08/03/03 up