新学期。


とりあえずあれから何事もなく転入し、ちなみにクラスは2−Aだ。席が近かった早瀬さんと友人関係を築くことができた。人は新しい環境下でも2,3週間で慣れるものだなぁとしみじみ実感した。
これならどうにかなりそうかなーと思っていたのだが甘かった。うん。今から思えば甘かった。
あの人がいる時点で私の平穏なんてないに等しいって事…!



とりあえずどこから話そうか。
ああ、確か早瀬さんと他愛のない話をしてたのですよお昼食べながら。
そんでこの並盛中の事とか(主に変な校歌の事とか)から話が発展して…

「あ、そうそう。さんて遅刻とかってする方?」
唐突に何故かそんな事を聞かれた。こてりと頭をかしげて答える。
「へ?んーん。しないけど……なんで?」
「あーうん。ならいいや。ちょっとうちの学校て遅刻者に厳しいとゆーか…。 ともかく、風紀委員に関わらない方がいいよ本当切実に日常壊されるから。」
「はあ……」
どこか必死な早瀬さんに曖昧に私は頷く。
「うーん。現実味がなさそうだねくん」
「………はぁ…(どこかの教授か君は)」
「まぁ、そのうち分かるよ。風紀に会ったら…正確には風紀委員長に会ったら逃げなさいな」
「……わかった」
そしてその時は思ったより早く来た。


放課後、先生に呼ばれて仕方なく職員室に顔を出し、
「こっちの生活どうだー?」 と聞かれ、
「楽しいですよー友達できましたし」
「そーか。なら心配ないな。いいぞ帰って」
「はーい(あれ、あっさり終わっちゃった)」

失礼します。と職員室から出て鞄を取りにクラスに戻る途中、ふと視線を窓の外へと向けた時だった。
なんか揉めているらしく、黒っぽい人とうちの制服をきた男子数人が群がって怯えていて――――――怯えて?
開いてた窓から目を凝らして見てみる。
「……………あ」
学ランさんじゃんかあれ。

ドカッ、バキッ

と、鈍い打撃音が聞こえるから相当痛いだろなーと場違いには思う。
銀色に鈍く光る武器を振り回し叩きのめす姿はとても綺麗だ。(男の人に綺麗はどうかと思うけど)(でも綺麗としか表現できない)
(にしても…強いなー…君と戦ったら互角かな?)
ちなみに君とは一つ上の幼馴染である。受験生なのにふらふらふらふらしてて平気かなぁと思ってたり。………でも何気に頭いいし、要領いいからなんだかんだで平気かもしれない。
閑話休題。
どさっ、最後の男子生徒が倒れ思わず小さく拍手をすると、彼は辺りを見回した後こちらに気付いた。

「学ランさんこんにちはー」
「(…学ランさん?)なにしてんの、そんな場所で」
「教室に鞄取りに行く途中です」
そしたら学ランさんが見えたので。と言うとふぅん。と興味なさげに呟かれた。
「学ランさんこそ何してるんですか裏庭で」
「別に。群れてる奴らを咬み殺してただけ」
「……さいですか(咬み殺しって…)」
 さりげなく恐いなぁそのセリフ……。
「あと僕の名前学ランじゃないんだけど?」
「知ってます(即答)」
「ワオ。いい度胸してるね君」
「(仕方ないじゃんか)だって知らないもの君の名前」
そう私が言うと何故か意地悪く笑った。(あ、なんか嫌な予感が…)
「…なら教えてあげる」
「へ?……って、ちょっ…!」

ガキィンっ

近くの木に手をかけたかと思うと跳躍し、今まで私が顔を出していた窓枠に飛び乗り攻撃してきたのだ。(ちょっと待って、ここ2階…っ!)とっさに私は護身用の薙刀で間一髪で受け止める。彼の力が加わり、両腕が重さで悲鳴を上げた。
「な、な………っ」
「ワオ。よく受け止められたね」
「何いきなりやらかすんですかあんたはっ!」
2階だとはいえやることなすこと無茶苦茶だこの人!!てか痛い!腕痛いっっ(半泣き)

「雲雀恭弥」
「はい?!」
「僕の名前。ちゃんと覚えておきなよ」
そう言って彼−雲雀はトンファーをしまい(どこから出してるんだ…)さっさと廊下の奥に消えていった。
「〜〜〜〜〜〜なんなのさ一体…」
完全にいなくなった後、力が抜けてぺたん。と座り込む。おかげでスカートが汚れてしまったが気にしない。未だかすかに痺れる腕をさすりながら、は長く息を吐き出した。

いきなり攻撃してくるわ名前言って立ち去るわ…本当に


(…………本当、よくわからない人だ)




















06/11/23
修正日08/10/4