「んー……。2階は得になし…っと。雲雀くん、こっちは異常無しです」 「次、上の階だから」 「…はーい(人使い荒っ)」 借りモノ競走の後(ちなみに一位でした。(そりゃ雲雀くんの前走れないよね)、そのまま直行で風紀の仕事に入ってるです。 人使い荒いですこの委員長。 自分は階段の踊り場で指示しているだけです。(せめて半分はやって…!(でも雲雀くんだからなぁ) なんだかんだで後4階を残すのみ。こちらも大丈夫かな?と教室を見回して、下にいる雲雀に声をかけようとした時、不意にガタッと音がした。 (…え?) 今この階には私しかいない、はず。教師や生徒は競技中は立入禁止になってる。(風紀は別らしいけど) 物音なんて、私と下にいるはずの雲雀くん以外に立てる人なんて…。 (まさか…ね?) というか、まさかと思いたい。 音は隣のクラスから聞こえた。はなるべく音を立てないように外に移動して、廊下から教室の中を見る。 中では教師でもなく、生徒でもないラフな服装な人が生徒の荷物をガサゴソとあさっていた。 うわぁ物取り犯決定だね。(棒読み) さん、に、いち。 ガララッ 「そこで何をしているんですかっ?」 かくして、物取り犯とのおいかけっこが始まった。 案の定、犯人は手前のドアから逃げる。 あっ、くそぅこいつ思ったより速い。 駆け出しながらは携帯を取出し、雲雀にかけると数コールで繋がった。 『なに』 「あ、雲雀くんっ?4階に物取り犯がいたっ」 追っているけどどうする?と聞くと暫く間があった後「行くからそのまま追って」と指示された。 『今どの辺かわかる?』 「えっと…3-Dを過ぎた辺り! あ、上に行っちゃうっ」 この階段は屋上へと続いている。も後を追って駆け上がろうと、して、物取り犯がこちらを振り返って何かを投げ付けてきた。 咄嗟に避けたがその際に足を踏み外してしまった。 「うきゃあっ」 思わず声をあげる。 幸い、数段しか上がっていなかったので頭を打つことはなかったけど軽く足を捻ってしまった。尻餅ついたままで小さく悪態をつく。あぁもう、ここ最近下手売ってばかりだ。こっちに来てから平穏だったから気を緩ませすぎているのかもしれない。 「ぁーもう、さいあくっ……!ん?あ、雲雀くん」 ふと人の気配で頭だけ振り返ると、いつの間にか雲雀がこちらに来ていた。 ……………あぁ。さっき思わず電話切っちゃったんだ。 雲雀は私の方を見て僅かに目を細めた。(気がした) 「、犯人は」 「上に行ったよ……」 そう。と雲雀は呟き、立ち上がろうとした私を制して「草壁を呼んで」と言い残して屋上への階段を上っていった。 私はというと、言われた通り携帯で草壁くんと連絡をとる。(このあいだ、教えてもらった) 連絡してすぐに来た草壁くんは、まず私が怪我していた事に驚き大丈夫かと心配され(やさしいなぁ)、委員長は?と尋ねられたから、上です。 と答えたら草壁くんは後を追って行ってしまった。 5分くらいそうしていただろうか。カツン、カツンと上から誰かが降りてくる音がして、仰ぎ見ると雲雀くんだった。 「草壁がが怪我したって言ってたけど」 「怪我というかなんというか…(さっきの事を説明)で、軽く足捻りました」 てへ、と笑うと馬鹿?とすげなく返された。(言わないで!私も反省してんだからさ!) 「…もう少し殺っとけばよかったかな(ぼそっ)」 「? 何かいった?」 「別に。で、歩けないんだね?」 「う……はい」 「…とりあえず応接室いくよ」 「え、どうやって…ぇうわっ!?」 雲雀はの腕を引っ張って立ち上がらせ、ひょいと。まるで荷物を扱うかのように肩に担ぎあげた。 視界が高い。頭に血が上る。 「…っぎゃー離して、歩けるからはなして――!!」 「うるさいよ」 「や、だってだって目ぇ回る!お腹痛いよ!ってそもそもなんで荷担ぎ――?!」 「足ひねって歩けないでしょ」 「歩けなくても歩けるからはなしてー!」 「何それ」 「いーやーっ!とにかく放し「少し黙ってて」………ハイ」 結局、その後応接室へ連行されてソファに放り投げられ、(ぼてって落とされた。ぼてっと)そして救急箱を渡された。 (渡した後、雲雀はどこかに行っちゃったけど(ちなみに今はお昼休みだ) 捻った足は思ったより腫れていて、今更ながらに痛みがでてしくしくと痛い。…普通に歩くのは平気かなぁ。 ぺたぺたと湿布を貼って片付けていたら、戻ってきた雲雀くんの手には私の鞄があった。教室に行っていたらしい。 「あ、りがとう」 「それとこれ」 「?」 折りたたまれた紙を渡された。これは?と聞くと、君の友人から押し付けられたんだよ。と向かい側のソファに座りながら言う雲雀。 何だろうと思いカサリと開く。それは佳奈枝からで簡単に一言書いてあった。 へ。 なんであの雲雀恭弥がの鞄取りに来たのか後日まるっとくるっと全て話せや? 佳奈枝より。 「…………」 とりあえず無言でたたみ直し鞄のポケットに入れる。…何を期待してるのかなぁ佳奈枝は。(こっちは足捻ってるのに) 「あ、そだ。お弁当作ってきたよ」 ガサゴソと鞄の中からお弁当を二つ取り出す。片方を渡そうとして雲雀の方を見ると、きょとんとした雲雀の視線とぶつかった。 (あ、珍しい表情。…うわー…可愛い、かも、しんない) 言ったら怒られそうだから言わないが。 「雲雀くん?」 「本当に作ってきたんだ」 「…ちょっとまって君が作ってきてと言ったんでしょーが。いらないなら別にいいけど」 「誰もいらないとは言ってないだろ(むっ)」 引ったくる様にお弁当を奪われる。一連の行動に呆れながらは自分の包みを解き、蓋を開く。 中には卵焼きやウインナー、プチトマト等の定番メニューが入れてある。 (一応、無難なのにはしてみたけど…) 流石に凝った物は作れない。というか、自信がない。 ちら、と視線をやると既に雲雀は食べ始めていた。 「えーと…どう?」 「…食べれなくはない」 「……さいですか(…どう判断していいんだろうこの場合)」 まあ、不味いと言われないだけましか。と思い直しも食べ始めた。 07/05/05 修正日 08/10/04 |