どこか懐かしくて、胸を締めつけられるような夢。




「…ちゃん、ちゃん!」
「うみゃあっ!……び、びっくりしたぁ…」
視線を上げると見馴れた顔ぶれがを見下ろしていた。そして自分が寝ていたことに漸く気付く。…そして何故か重いことも。
ちゃーん?大丈夫?起きてる?」
どうやらが乗っていたかららしい。
「…そのまえに。ど、い、て!」
がばりとを引きはがす様に机から起き上がる。ようやっと開放され、はあ。と息をはくと、その様子を眺めていた私の双子の姉、がぽつりと呟いた。
「にしても、珍しいな。がHR中寝てるなんて」
そう言ってがいつも持ち歩いている黒ノートに何かを書き込む。
、何書いて…?」
「居眠り。教師に怒られなかった最長記録更新っと」
〜〜〜!?」
の悲痛な叫びにはニッと笑い、冗談だよ。と返す。
「はいはい戯れおしまい。HR終わったんだから帰るよ」
パンパンッと軽く手を叩いて紀伊奈が皆をただした。

私達4人は幼なじみだ。何故か家が近かったり親同士が仲がよく、気付けばいつも一緒にいた。ポジションとしては紀伊奈が母親、が姉、私とが妹…らしい。




「にしても本当、大丈夫?
学校の帰り道、いつもの様に近所の公園でお菓子を食べてると紀伊奈が尋ねてきた。
「ふぇ?」
「居眠り。いつもはほとんどしないのに」
「私も思った。何かあったのか?」
「うーん…。夢をね、見たのよ」
「「夢?」」
紀伊奈との声が重なる。
「夢って恐い夢なの?ちゃん」
「怖くはないよ。いつもの夢。あ、でも少し違うかな」
「何が違っていたの?」
何故か真剣な表情で紀伊奈が問い掛けてくる。
「えっとね…闇で覆われていて、私しかいない。ってのは前話したよね」






暗い暗い闇の中、私は独りそこに佇んでいた。






闇は私で、私が闇。ただ当然の様にたゆたっていた。






「けどね、話し掛けてきたの」





共にいきませんか。………と。





「誰が?」
「分からない。けど…嬉しかった。懐かしかったの」











"………………ミツケタ…!"















突如、の足元に蒼い魔法陣らしきものが浮かび上がる。
「っ!ちゃん!?ちゃん!?」
「んなっ………!?」
「…ちっ。ユッカっ!」
がペットの猫を呼び、私が驚いている間にどんどん光に飲み込まれてゆく。











"カ…モノ……ニ…トナリ…イデヨ……!!!"















その言葉にざわりと粟立つ。聞いてはいけない。そう本能が告げる。
「………っ!」
光が、二人を飲み込んだ。



























「………あれ?」
やや幼く高めの声が呟く。隣にいた長身の男が何事かとたずねた。
「どうかしたか?カノン」
「バノッサさん…女の人が倒れてますよ」
「あぁ?」
バノッサと呼ばれた青年が少年の、カノンの指差す方に視線を転じる。
視線の先には少女が一人、倒れていた。外傷は見当たらないのでおそらく気絶しているだけなのだろう。
「どうします?家に運んでもいいですか?」
「…………………勝手にしろ」
その言葉にカノンは嬉しそうに微笑い、少女を抱き上げた。