「…此処、どこ?」
目が覚めて周りを見渡すも木ばかり。
鳥達が鳴き、遠くの方で水の流れる音がする。
「森だってことは分かるんだけど…」
何故私はここに…?
はてと首をかしげる。

記憶にあるのは深い深い闇に意識が沈んだということと、
「あー……そうだ。女の人の声が聞こえたんだ」
鈴を振るような声だったのを覚えてる。
……名前は知らないけど。

とりあえず近くの木にもたれ掛かる。
「…ん?」
ふと自分の服装を見やる。
あきらかに制服とは違うそれ。
白のノースリーブのハイネック。
その上に薄紫色の、袖がゆったりとした服を着ていた。
腰には短剣が二つ。剣の銘は"汞邑"とあり、おそらく双剣だろうと思う。
そしていつも持ち歩いてる細々とした物も揃っていた。
「まぁコレさえあれば一応大丈夫だけど…。これからどうしよう…?」
幸い武器もある為、戦えないこともないのだけれど。


――――と、何かがこちらへ近づく気配がした。
ガサリ、と奧から獣のような姿をしたのがこちらに来るのが見える。
はあわてて木の上に避難した。
(どうしようっかな…)
木の下には獣とはいえない生物が獲物を探してうろついている。
不意打ちついて倒そうかなど物騒なことを考えていると、反対側から人の気配がした。
彼等もこちらに気付いたらしく、木の下で戦闘が始まった。





ガキィンッ


剣がうなり、モンスターが咆哮する。
その様子をぼんやりとは見ていた。
幸というか不幸というか…戦っている彼等はの存在に気付いていない。
(…まぁ普通いるなんて考えないか)
しかも木の上に。
それにしても…とは小さく溜息をつく。
(まさかテイルズの世界に来れるとは…)
その証拠に木の下では金髪をなびかせながら斬りかかるスタン達がいる。
大好きなゲームなだけにうれしいが微妙な気分だ。
(とするとまだ旅は始まったばかりなのかな?)
頭の中で攻略ルートと現状を照らす。
多分ストレイライズ神殿へ向かう所なのだと思う。
「よっ、と」
こちらに気付き攻撃してきたモンスターをクナイで仕留め、トンッと木の上からは飛び降りた。
私が仕留めたので最後だったらしい。
が降り立つと彼等は一斉にこちらを向いた。
そして、




チャキリ


「貴様、何者だ」
黒髪の美少年−リオンが剣を突きつけてきた。
「…ただの通りすがり?」
「貴様馬鹿にしてるのか?」
疑問系で言うとリオンの声がさらに低くなった。
んー流石に異世界から来たなんていえないしなぁ。
「だって気付いたのついさっきだもの。…その前のこと覚えてないし」
「あなた、もしかして記憶喪失なの?」
ぐいっとリオンを押しのけてルーティがに話しかけてきた。
押しのけてくれたおかげで剣を首元から外されたので、思わずほっとする。
「そうなるの、かな?えっと…」
「あたしはルーティ。こっちが相棒のマリーで、これがスタン。んでさっきの生意気なのがリオンよ」
「私は、
、本当に思い出せないのか?」
マリーの問いに少し考えた後こくんと頷く。
(その方が何かと都合がいいしね)
ばれなければ大丈夫だろう。多分。


「此処ってどこなの?」
フィリアがいないから多分あの森だとは思うけど。
案の定此処はストレイライズ神殿へ行く森だと聞かされた。
「なぁリオン。も連れていった方がいいんじゃないか?」
スタンがリオンに言うのが聞こえる。
「貴様、今から何をしに行くのか分かってるのか?」
「けれどスタンの言う通りだ。此処に残していくとしても、またいつモンスターが襲ってくるかわからない」
「これで3対1ね。どうすんの?あんたは」
ルーティがリオンに詰め寄る。
「……好きにしろ」
皆に言われ、しぶしぶといった感じでリオンはを仲間にするのを認めた。
「ありがとう、みんな」
「気にしなくていいわよー。旅は道連れってね」
ルーティの言葉に思わず笑う。
これからよろしく。とは微笑んだ。







    君達と行けば、私が知りたい答えは見つかるかな…