そして、
「で、。教えてくれるって言ったわよね」
「うん。言ったね」
船に戻ってさっそくルーティに問い詰められた。
「いつから聞こえてたの?」
「ん−…確か神殿着いたときにはもう聞こえてたよ」
「ってほとんど最初からじゃない」
「なんで言わなかったんだ?」
「だってあのあと神の眼のことで大騒ぎだったでしょ?」
だから言いそびれたの。とは肩をすくめた。
「別に騒ぐ事でもないだろうが」
「あんたはよくてもこっちはよくないの」
「全く、くだらんな」
「なんですってぇ!」
「…本当、仲いいよね−あの二人」
「そうですわね」
口喧嘩する二人をフィリアとともに少し離れた所で傍観する。
流石は姉弟だなぁ。
そんなことを思っていると頭に声が響いた。
『全くもう。こっちの身にもなってほしいわ』
「えっと、アトワイト…だよね?」
『そうよ。あの子、あんなんだけどよろしくね』
「ちょっと、アトワイトっ。聞こえてわよ!」
「あはははは」
そんなこんなで話は終わり、その後は特に何事もなくカルバレイスに着いた。
強い陽射し、乾いた空気、遠くのほうには蜃気楼が見える。
「暑い〜〜っ!!」
「ルーティ…何も叫ばなくとも」
「だって暑いものは暑いんだものっ」
「まぁ確かに暑いけどね−…」
「もうすぐバルック基金のオフィスにつく。少しは我慢しろ」
外は暑かったがオベロン社の支部は外とは打って変わってひんやりとしていた。
「そういえば、バルック基金って?」
階段を降りながらスタンが聞く。
「ああ、バルック基金ていうのはね−…」
まるで水を得た魚の様に話すルーティ。
………もっとも、スタンは理解できてないのだけれど。
埒があかないのではさっさと後について行くことにした。
リオンがバルックに一通り今までの事を話す。
神の眼が盗まれた事を話すとひどく驚かれた。
「そちらは何か変わったことはないか?」
「そうだな…イレーヌから報告があった程度だ。とにかく、こちらでも調べてみよう。」
バルックとの面会が終わり外に出ると眩しくて思わず目を細めた。
カルバレイスは天上人の子孫が住んでいた。
だからなのか、私達のように外から来た人達にものすごく冷たい。
ルーティが先程八つ当たりしてる何割かはそれのせいだと思う。
もっとも、暑いという事実が大半を占めているからなのだろうけど。
ちなみにルーティはフィリアと共に買い出しに行っている。
「子供達はそうでもないんだけどね−…」
「何の事だ?」
「ああうん、気にしないで。ただの独り言」
外とは関わりがたらない大人とは違い子供達は本当に無邪気だ。
今もスタンで遊んでいる。
「お姉ちゃん達はやらないの?」
女の子がとてとてとこちらに来る。
「だって。どうする?」
「そこで何で僕にふるんだ」
「いや別に深い意味なんてないけど」
「ねえ−、やるの?やらないの?」
「何でやって欲しいの?」
「だってあのお兄ちゃんすぐ捕まるんだもん」
女の子の指さす方に視線を向けるとちょうどスタンが捕まった所だった。
「、頼む。変わってくれ…」
「……スタン、バテるの早過ぎ」
「ねぇ−やって?」
「じゃあ一回だけね。リオンはどうする?」
「僕はやらないからな」
「はいはい」
−20分後
そこには、走り疲れた子供達と息一つ乱してないがいた。
「くそ−っ、姉ちゃん早すぎ!」
「あーあ、負けちゃったぁ」
「お褒めの言葉をどーも」
にこりと笑うに次こそは勝ってやるっと子供達がわめく。
「戻ってきたよ−」
「お前、子供相手にムキになるやつがあるか」
「ムキになってないよ。そりゃ私は基本的に熱いの苦手だけど。子供達相手にそんなことしないよ?」
だからそれをムキになると言うのではないか。
リオンが呆れているとスタンがを称賛する。
「けどよく捕まんなかったな」
俺はすぐ捕まったのに。
それはスタンの力不足なだけ。
そして翌日。
カルビオラ神殿に神の眼が運ばれたということで朝早く出発した。
そして只今カルビオラへ行く為砂漠を横断中。
暑いことこの上ない。
最初は暑いとうだうだ言っていたが、今はその気力さえもない。
「まったく、いつになったらつくのよ」
「少しは黙らないか」
そんな仲間を見やりつつは黙々と歩く。
ふと、何の気無しにには視線をあげた。
太陽の光に思わず目をつむる。
すると、
「……え?」
真っ白な空間にいた。
「えっ、ちょっとまっ…どういう事?」
今まで隣にいたルーティ達の姿が見当たらない。
どうしようと途方にくれてると、どこからか誰かの泣く声が聞こえてきた。
声のする方をみると、泣いていたのは女の人だった。
「…だれ?」
が呟くと彼女はばっと振り向いた。
「っ……っ」
鈴の振るような声。
思い当たる人物は唯一人。
「貴女っ、まさか私を呼んだ…」
こくんと頷かれる。
それは、私がこちらの世界に来るときに聞いた声の主だった。
「私は、エクスフィト」
彼女、エクスフィトは言った。
「ねぇ、どういう事?なんで私はこの世界に喚ばれたの?」
「…貴女の力を、貸してほしかった。あの時代に…繋ぐためにはこれしか方法が、なかったの」
悲しそうにエクスフィトが言う。
「…私に力なんて、そんなのないよ」
私が否定するとエクスフィトはふるふると首を横にふる。
「貴女がまだ気付いていないだけ…。は、あの方の血族だから」
「あの方って?」
「それは…」
突如音が消える。
エクスフィトが何かを言おうとしたけどそれが何かわからないまま、の意識は途切れた。