バタバタバタバタ



只今衛兵さん達相手に逃げ回っています。原因は…このお方。
「ねぇー…聞いてもいい?スタン…。原因は間違いなく君だよね?」
「だ、だって仕方ないだろ!?でなきゃ、あの親子助けられなかったんだぞ!」
「別にそれはいいの。ただ時と場所を考えろっていう話なだけ(微笑)」
顔は笑っているが眼は笑っていない。度々こんな表情のを見たことはある。あるのだが……今日はそれに輪をかけてすごいことになっている。 事の起こりはスタンがある親子を助けようとしたというもの。が言うように別にそれだけならいいのだ。………衛兵にいきなり魔人剣を放たなければ。
…だからと言って武器をスタンに投げようとするな。気持ちは分かるが」
「………分かった」
リオンに諭され、いつの間にか取り出していたクナイを渋々としまう。



「いたぞ!こっちだ!」
もう追い付いて来たのか、衛兵の声が後ろから聞こえてくる。土地感もあるため明らかにこちらの方が分が悪い。
「どうする。戦うか?」
「マリー…楽しそうに言わないの」
「でも早くどうにかしないと…ぅわっ」
が言い終わらないうちに突然、ぐいっと誰かに腕を掴まれた。
「こっちだ!」
!?」
「…っ。みんなも早く!」
色鮮やかな衣服が目に映り、瞬時に『あの人物』なのだとは悟った。手を引かれるがまま、達は青年に言われた通り身を隠し、何とか衛兵を撒くことができた。





「助けてくれてありがとうございました」
「別にいいってことよ。…にしてもお前さん達、随分と変わった取り合わせだな」
「…でしょうね」
青年の呟きにが苦笑する。
セインガルドの剣士に神官にレンズハンターに…私は一応忍だし。普通じゃこんなまぜこぜは見られない。
「というか、あんた一体何者なの?」
「俺はジョニー。気ままな吟遊詩人さ」
自称、な。とジョニーが笑う。
「で、ものは相談なんだが……」
「何です?」
「そこのお嬢ちゃん。俺とちょっと付き合ってくれないかい?」
「はい?」
がしっとジョニーに手を握られは思わず目を白黒させた。
そしてたっぷりと間を置いた後、

「「「はぁ!?」」」

街中に聞こえるのではと思った位大声が辺りに響いた。
「何だよそれ!」
、こいつなんか無視して先を急ぐぞ」
「別にいいですよ?」
「ってなんで断らないのよ!!」
「本当かい?そりゃよかった」
「あんたも話進めるな!!」
「あぁ、でも行きたい場所があるんですけど…いいですか?」
「へえ、何処だい?」
ルーティの声をBGMにしながらはにっこりと笑い、こう言った。
「あそこです」
指を指したのは今から乗り込もうとしていた場所。一同が呆気に取られているといきなりジョニーが笑い出した。
「いい性格してるねぇお嬢ちゃん。大方、グレバムの所なんだろ?」
「ええ、そんな所です。無理だったら私達だけで行きますが?」
「とんでもない。俺もちょうどあそこに用があるんだ。親友が奴に囚われてるんでな」
「だってさ。皆どうする?」
「一緒に行きましょう!」
「ちょっとスタン!」
「見事に即答だったね、今」
なんでそう勝手に決めるのよあんたは〜とルーティがスタンを締め上げるのを見ながら苦笑を漏らす
「ああそうだ。ちなみにジョニーさん」
「なんだい?お嬢ちゃん」
「…です。城の中は分かるんですか?」
「もちろん」
「ならいいんじゃないかな。案内役頼めるし」
「だからといって、そんな素性も知れない奴を…」
「リオン…それを言ったら私だってそうだよ?」
に言われて言葉に詰まるリオン。
「けどそれとは……………」
「それに私達じゃ城の中、迷うだけだよ?」
『坊ちゃん…諦めたほうがいいんじゃないんですか?』
シャルの声が頭に響く。
「で、どうするの?(微笑)」
にこりにこりと敢えて笑みを絶やさないとやや後退するリオン。勝敗はもうすぐつきそうだ。





「なんかこう…って少し変わったわよねー…」
「そうか?」
とリオンの押し問答をやや遠目から見つつ、ルーティがぼそっと呟いた。
「何て言うのかなー…一皮むけたというか」
「ふっ切れたとも見えますわよね」
「やっぱしそう思う?フィリア」
「ええ」
「うーん…。とにかく、が元気になったんだからいいんじゃないのか?」
「あんたは脳天気でいいわねー…」
スタンの発言に呆れた所で視線を元に戻すと、丁度リオンが折れた所だった。