が部屋に赴くと既に皆が集まっていた。 簡単な自己紹介を終えた後早速本題に入る。城はグレバム達が占領しているのでおそらく 神の眼もそこにあるだろうとウッドロウが話してくれた。 問題はどのルートを辿るかという事。ウッドロウの話を聞きつつは窓際の壁に背 中を預ける。彼等のやりとりを少し離れて見ていたらフィリアが隣に来た。 「どうかした?」 「……もうすぐ、なのですね」 「…そうだね」 グレバム戦まで後少し。そして彼等といられるのも。聡いフィリアだから気付いているの だろう。 「けど、だからこそ、神の眼を取り戻しましょうね」 「フィリア……うん。頑張らなきゃね」 「ええ」 そう言ってお互い顔を見合わせて微笑った。 「…キュア!」 ルーティの晶術がダリスの傷を癒していく。その様子を私達は只祈る様に見守るしかな かった。 ―――あの後、色々な事が怒涛の様に過ぎ去った。 サイリルの街ではマリーが記憶を取り戻した。そしてダリスに会い、記憶を失った経緯を私 達は扉を挟んで聴いたのだ。 その後衛兵に見つかりなし崩しに戦闘に突入。ダリスにかけ られていた暗示は解く事が出来たのだが出血が多すぎて今にも意識を失いかけていた。 そして今に至る。ルーティの晶術でいくらかは傷は塞がったが、まだあちこち深い傷が残ってい る。 「……………セドゥ」 『呼んだ?』 小さくセドゥに呼びかけルーティの元に行こうとする。そんなの腕を誰かが掴んだ。振り向かなくとも気配で分かる。リオンだ。 「何をするつもりだ、」 「ルーティの手伝い」 「駄目だ」 今の所、セドゥを知っているのはリオンのみ。(話す機会を逃してしまったので)なので 必然的に声も小さくなる。 セドゥの力を借りれば回復を手伝える。そう言うにリ オンは駄目だの一点張りだ。 「どうして駄目なの」 「今此処で晶術を暴走させない自信はあるのか?」 「あるよ」 見事に即答する。 「…だとしてもだ。お前、まだ晶術自体に慣れていないだろう」 「それはそうだけど…でも!」 「今は戦力は落とせないだろうが」 それはルーティだったら別によいのか。とは突っ込みたくなったが口には出さな かった。リオンの言う事も一理あるからだ。 「うぅ…」 「ダリス!」 「意識が戻ったのか」 「…みたいだね」 奥の方に視線を向けると丁度回復も終わったらしい。 「…結局手伝えなかったけど」 「何か言ったか?」 「何でもない。心配してくれたんだよね」 ありがとう。そう言ったらそっぽを向かれてしまった。 その後マリーはダリスと待つ事になり、スタン達はウッドロウの案内で先を急ぐ。襲い掛 かるモンスターを切り裂き上へ上へと走っていった。 皆が最上階にたどり着くと、そこには宙に浮いている神の眼と、それを見上げているグレ バムの姿があった。 (あれが、神の眼…) 巨大なレンズ。 実物を見るのは初めてだったが、レンズの周りの大気中に静電気が帯電されていくの が嫌でも肌で感じとれた。 直感的には思う。 コレは人の手に負えないものだ。という事を。 「グレバム!」 スタンの声にゆっくりとこちらを振り向くグレバム。 「よくぞここまで来た。と言いたい所だが…残念だったな。貴様等の命運もここまでだ」 「そうはいかない!」 「そうですわ。これ以上貴方の好きにはさせません!」 ウッドロウとフィリアの言葉を皮切りに皆が駆け出した。 次々に繰り出される技に体力を削られながらも隙を見つけては攻撃する。どうやらイク ティノスを使い晶術を放っているみたいなのでかなりの威力だ。もしかしたら神の眼の力も使っているのかもしれない。 けれど晶術は一度中断させてしまえば力は霧散してしまう。ルーティに回復を頼みつつ がグレバムの気をそらせ、その隙にスタンとリオン、ウッドロウがグレバムに切 り掛かって行く。 技と技との連携で流石にグレバムも防戦一方だ。なんとかグレバムが後退し、反撃しようとした瞬間、フィリアの放った晶術が全 てを光で焼き尽くした。 |