「−−−…」
「−−!」
それは白黒の夢だった。
いるのに意識を向けようとすると瞬く間に霧に包まれ見えなくなる。
知っているのに知らない
判るのに判らない
必死に何かを言っているが声は聞こえない。
非現実的な光景だった。
ふわりと輪郭が揺れ始める。
ああ、目が覚める。
意識が薄れるなか、私は誰かの手が伸ばされるのを見た気がした。