ぱちりと目を覚ませばそこは見慣れた自分の部屋。
くぅ、とのびをし、学校へ行く準備を整えた後弟を起こしに行く。



いつもと同じ 日常。



なのに物足りないと感じるのはどうしてなのだろう。



(それに…あの夢…)



白黒の夢。




誰かの手がのばされた所で必ず夢が終わる。



それが毎日続く。



同じ所を何度も繰り返して。



まるで壊れたオルゴールのように。



(抜けた記憶と関係、あるのかな…)



記憶喪失になって早3ヶ月。

何にも変わってないはずなのに、心に穴が開いた感じがする。


「ってそのまえに起こさなきゃ」
一応ノックし弟の部屋の扉を開ける。ひょいと覗き込むと今起きたらしい。
ーさっさと下に来なさいよ。朝ごはんさめちゃうから」
「・・・はよ、姉貴。ってかまたそれつけてくのか?」
に指差されたのは私が神隠しから戻ってきた時に持っていたイヤリングの事だ。シャン、と小さく揺れる。
「む…いいじゃない。気に入っているんだから。それより早く来なさいよ?」
「へいへい」



いつものやり取り



変わらない朝の会話



それは心地よく、何故か物足りなかった。